小学生から徳島の小学校のチームでサッカーを始め、小学高学年になる頃には、家と学校とグラウンドを行き来するサッカー漬けの毎日を送っていました。9歳頃、腰に痛みを感じて初めて整形外科を受診し、腰椎分離症と診断されました。練習出来ない程の痛みではなかったので、休む事なく変わらずサッカーに明け暮れる日々を過ごしていました。まだ当時は、怪我などのケアや予防といった時代ではなく、根性論でスポーツをする時代でしたし、何よりプレーする楽しさの方が上回っていたので、親や監督に痛みを口にする事もしませんでしたね。
肉離れやオスグッド病、セーバー病などはありましたが、それ程長く練習が出来なくなるような怪我もあまりなく、プロ入りまでは過ごしていました。

　プロ1年目の練習試合の時、足関節靭帯損傷の怪我をし、初めて長期練習が出来ず、リハビリの辛い日々を経験しました。やはり、好きな事が思い切り出来ないストレスと自分への苛立ちや不安でメンタル面も絶不調の時期でしたね。来る日も来る日もボールがさわれず、トレーニングをする日々。トレーニングの重要性を理解していなかった18歳の僕は、本当にうんざりしてましたね。何とか乗り越え、2年目では試合で起用してもらえるようになり、初めてピッチで名前を呼ばれた時の記憶は今だに鮮明に覚えてます。ですが、戦力外通告。初めての挫折でした。トライアウトの時も怪我しており、自分のプレーが出来ず終了。迎えた20歳の誕生日の高校の同級生との忘年会。荒れましたね。そんなどん底の時、ユース時代からの先輩に声を掛けていただき、FC刈谷へ入団しました。

　当時、JFLだったFC刈谷ではプロ契約ではなく、昼は生活のために働いて、夜はサッカーの練習、週末には公式戦。グランパス時代とは大きく環境が変わり、FC刈谷の提携先企業さんではなく、自宅が豊田市だったこともあり、豊田市で社会人として２足の草鞋を履いてのスタートをきりました。サッカー選手として生計を立てられていた頃には分からなかった、生きてくために稼ぐ という事を思い知らされました。どれだけ良い環境にいたか分かっていなかったんです。周囲からは、大変だねと言われてましたが、むしろこの時は、再起にかける気持ちや同じベクトルのチームメンバー、スタッフの方、そしてファンの方の応援が支えとなっていて、体は辛かったですが、本当に日々楽しかったです。

　両立も慣れてきた頃、関節遊離体での痛みが頻繁になり、ロックされ足首が動かなくなり、取り除く手術をすることに。今思えば、この頃から怪我との戦いは始まっていました。怪我や痛みがあっても動けなくなるまでプレーし続ける癖がついており、少し休んでケアをしたりせず、完治しないままサッカーをする。ひとつの痛みをかばい、別の場所を怪我する。まさに悪循環ストーリーの始まりでした。

　そんな頃、知立市のハート接骨院（現ハート整体院）の竹内康之先生と出会い、根本治療とメンテナンス、体のバランスやトレーニングの重要性を教えていただきました。練習後には毎日のように閉院後にもかかわらず治療をしていただき、時には、他県の治療院まで一緒に同行していただいたりする中で、自身の体との向き合い方や、年齢を重ね持病と上手に付き合いながらどうプレーしていくか、根本をマインドセットするキッカケを与えてくれました。2014年の引退まで、フィジカルだけでなくメンタル面でもサポートしていただき感謝しかありません。現役の頃、怪我が多かった原因は、やはり早期のケアや、根本を改善してこなかった事、その術を知らなかった事だと思います。そして、体の痛みや不調、その不調が与えるストレス、不安や苛立ちなどのメンタルへの影響。また家族や周りの人達への影響も、とても大きなものだったと思います。持病を抱えながらもプレーを続けてこられたのは、チームメンバーやスタッフの方々、サポーターの方々、家族や友人のサポートのおかげだと思っています。現役引退後、サッカーの指導者などサッカーに携わる道もありましたが、怪我が多かった自分自身の経験を活かし、痛みや不調に苦しんでる人、スポーツを頑張ってる子どもたちを、コンディショニングの側面から少しでもサポートが出来るのではないかと柔道整復師になることを志すようになりました。